葉山時間

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【コラム】 #心地よい暮らしと、石けんと。 第9回 〜めいわくは、おたがいさま 〜

「学校にどうしても合わない人がいて、迷惑なんだよね」。
ボソッと悩みを打ち明けてきたのは思春期の我が子でした。  

そんなとき、つい母親として「その子のいいところ見つけて、仲良くするような努力をしてみたら?」と助言をしてしまうもの。 

少し前に、SNSで発信されている心理カウンセラーさんの投稿で「日本とインドの子どもへの教えの違い」という記事を読みました。  

日本では、子どもに「人に迷惑をかけることはしてはいけない」と、教える親が多く  「何事においても周りへの配慮を欠かさないこと」がひとつの美徳とされている。  

一方でインドでは「あなたは人に迷惑をかけているのだから、人のことも許してあげなさい」  と教えている。  

つまり日本人は「人様には、迷惑をかけないこと」という教えが一般的なのに対し、インドでは 「あなたは人に迷惑をかけて生きているのだから、人のことも許してあげなさいね」と教えるということ。  

なるほど。もし日本式が行き過ぎてしまったとしたら、  

「なんでわたしは迷惑かけないように暮らしてるのに、あなたはできないの?」  ともなりかねないし、「許さないし、許されない」という空気感は縛りつけられるようで、重い。  

でもそれは、「利己的な迷惑行為」をされた相手に対しては、例外。  

はっきり「NO」と言える勇気をもつこと。  

わたしたちは「迷惑をかけながらでしか、生きていけない」  

そこに、あらためて気づくこと。  

完璧な人など決していないから、みんなに少しずつ迷惑かけたりかけられたり。  全体としてのバランスが取れていたらそれでOK。  

日本式も、インド式もどちらの考えも、いいとこどりで取り入れながら。  お互いさまだよね〜って、笑って言い合えて、支え合っていけたら。子供も大人も息苦しさや、見えないプレッシャーから解放される。平和でいいなぁ〜と思います。

あたりまえや常識にしばられ、苦しくなるのだとしたら。  

「あたらしい視点にどんどん触れて、こだわりや、モヤモヤ、ストレスをうまく逃す方法をひとつでも多く、じぶんの中の引き出しにもっておくこと」 

それこそが、強くたくましく、しなやかにラクに生きるための心強いお守りになることを、大人になった今、やっとわかってきたところなのです。  

だから、ゆっくりでいい。「お互いさま〜」と思えるようになる日が、いつか我が子にも訪れることを願っています。 

【プロフィール】

手作り石けん教室『soapmaking studio uguisu』主宰

chitose

自身の肌の弱さと子どものアトピーをきっかけに石けん作りに興味を持ち、学び始める。2016年葉山町の自宅にて手作り石けん教室「soapmaking studio uguisu」を立ち上げ、現在はワークショップ、自宅でのプライベートレッスン、オンラインレッスン、体系的に石けん作りが学べるオリジナルカリキュラムなどを実施中。アート作品のような美しい石けんが並ぶインスタグラムも人気。

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