葉山時間

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【コラム】#幸運を引き寄せる暦のおはなし 第一回

お榊を神棚に準備する意味とは?


はじめまして、ひさとみゆりかです。
素敵なご縁をいただき、「葉山時間」で連載コラムを書かせていただくことになりました。こちらでは自然と暦にまつわるコラムを「#幸運を引き寄せる暦のおはなし」と題し書き出してみたいと考えています。暦をたよりに、より楽により楽しくみなさまがお過ごしいただけたら嬉しいです。

さて、昨年よりさまざまなイベントと縁遠くなり、おでかけやお祝い事などもみなで集まって行うことが難しい世の中となりました。

ステイホームの生活もなかなか板についてきたところではあるかもしれませんが、そんな中で家に神棚をつくる、ということが密かなブームとなってることをご存知でしょうか。

神社やパワースポットへの旅も制限され、その反面お家時間が長くなり、家の環境を丁寧に見直すことができるようになったことがきっかけなのかもしれません。

その神棚には “お榊(さかき)” という緑の葉っぱが必ず奉納されていて、身近なお花屋さんでもその小さな葉の束を見かけたことがあると思います。

今日はこの神棚とお榊について少しお話してみたいと思います。

実家がご商売をされていて神棚があったよ、というかた、また今でもおばあちゃんの家などに神棚があるよ、というかたもいらっしゃるでしょう。

この “神棚” の歴史の考え方は諸説ありますが、民間に広く知れ渡ったのは江戸時代。

当時、伊勢神宮へ観光することが一種のブームとして生まれ、そのお土産としてお神札 (ふだ)を購入することが流行ったのです。そのお神札を祀り、信仰を深めるために作られた “神棚” が広まったきっかけと言われています。今でもそのルーツから伊勢神宮を祀る神棚がほとんどなのです。

その神棚はいわば神様のお家。自宅に神様のお家を作るのですから、環境がいいところにお迎えしたいですよね。場所は大人が見上げる高い位置に設置し、太陽の光が入る南向きまたは東向きに設置するのがいいとされています。またトイレと向かい合ってしまったり、掃除が行き届かないような場所にすることは避けるべきです。

毎朝、顔や手を洗って清潔にしたらまず神棚の前でご挨拶。この数分、または日によっては数秒かもしれませんが目を閉じ、手を合わせ今日1日の始まりにご挨拶できることはとても貴重な時間となります。

お供えとしては、お米、お酒、お塩、お水、それからお榊を。このうちお榊以外は毎日お取替えし、お榊は月に2度新しいものと取り換えます。
※下げてしまうお米、お酒、お塩、お水はお料理などに使ってよいです

お榊ですが、木へんに神と書くとても神聖な名前がついています。このお榊についても考え方はさまざまありますが、昔の人々は先の尖ったものに神が宿ると考えていたそうで神事を行うときに神様の目印になるようにと、このお榊という葉を使ったそうです。もうひとつは “栄える木” として繁栄への祈りを込めて使っているということもあります。そのため商売繁盛を祈るお店などには神棚が多く作られたのです。

この1日と15日に変える意味ですが、お供えとして生き生きと緑の美しいところを目印に神様がいてくださるように、またこれからの繁栄、益々栄えるように、という意味が通るように葉が枯れないうちに交換しましょうということです。実は氏神様へのお参りも朔日参り(ついたちまいり)といって1日に行くことをひとつの目安としています。

それからお榊は葉として “生き物” ですからその場、空間の邪気(けがれや汚れ)があると早く枯れてしまいます。15日間は生き生きと緑が生きられるように空間の気のバロメーターとしての役割もあるのです。

今はいかにも “神棚” です、というようなものではなくモダンでお家にもぴったりなシンプルなものやコンパクトなものも販売されています。私も鎌倉の小町通りにあるお店で気に入ったものと出会い、お迎えしています。

また神棚がなくてもお榊だけでも飾ってみる(お花屋さんで「お榊ください」と伝えると購入できますよ)ことで、なんとなくお家の空間が神聖なものに変わることを実感できます。それをお手入れして、月2回変えてみる生活に変化すると丁寧な暮らしができているようで落ち着きます。お榊に手を合わせて毎朝ご挨拶してみるという生活もいいですね。

イベントがなく区切りがない世界で、毎日がすすんでいることを感じたいときに、1日と15日のお榊を変えるというアクションが何気ない毎日の節目になってくれます。

忙しさにかまけて日頃の感謝を忘れたり、ネットの中の絶え間ない情報量でいっぱいいっぱいになってしまいそうなとき。毎日の生活のなかで、神棚やお榊があり、毎朝数秒でも目をつむり手をあわせると自然と本来の自分に戻れるような気がしています。

次回は神社での奉納で使う、玉串という枝葉についてのお話をしてみたいと思っています。お楽しみに。

 

ファイナンシャルプランナー兼暦鑑定士

ひさとみゆりか

新卒で証券会社に入社後、ご縁がありお寺や神社の資産運用にたずさわる。そのときに旧暦(こよみ)の見方、考え方を教わり、学びを深め、富裕層のクライアントなどへ暦のタイミングについて話せるようにまでなる。2016年暦でみるタイミングが吉となりファイナンシャルプランナー兼暦鑑定士として独立し、半年後に本を出版。2020年よりインスタグラムにて暦の発信をスタート。

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