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【コラム】茶ノ一滴酒ノ一献 #01 禅の言葉で心を整える

禅の言葉で心を整える

コラム「茶ノ一滴酒ノ一献」を書かせて頂きます逗子茶寮 凛堂-rindo- 亭主の山本と申します。このコラムでは、日常を過ごす中、私共の隣に当然のようにある茶や酒について隠れた魅力を、ご拝読頂く読者のみなさまへお届けし、少しでも日常がより豊かになるよう茶を淹れるかの如く心を込めて書かせて頂きます。

まずはお好きなドリンクをお手元に。
一息ついてからはじめていきましょう。

私も、#1は佐賀県嬉野は副島園様の蒸し製玉緑茶を飲みながら、コラムを書いていくことに致します。深みのある緑、まろやかな旨味と渋みが体を整えてくれます。

さて、
今回から始まるコラム「茶ノ一滴酒ノ一献」は#1~#6までとなります。
#2、#3は茶の世界へ、#4、#5は酒の深い世界へ誘わせて頂きます。
#6は茶と酒、総まとめといったところでしょうか。

今回の#1の話では、茶と酒の世界へ踏み込む前に心を整えていきましょう。

逗子茶寮 凛堂-rindo- (以下「凛堂」と略す)は、インタビューでもお話させて頂きました通り “日本の魅力をたくさんの方々に伝え広め、伝統や文化を守っていきたい” という大前提のもと在ります。

前述した魅力をお伝えするため、凛堂では禅の精神をとても大切にしております。

看板や暖簾には家紋を掲げており、雪と月を表す輪の中央に利休竜胆の花を咲かせております。雪や月といった自然は禅を語るうえでなくてはならない、人の思いや生き方、精神性の原点ともいえますし、考え方をさとしてくれる大いなる存在です。

禅語にこんな言葉があります。
 “ 降雪片々不落別処〔こうせつへんぺんべっしょにおちず〕”
有名な禅語ですので聞いたことがある方も多いと思います。

しんしんと降る雪は無造作に落ちているようにもみえますが、実はその雪の一片一片はたまたまその場に落ちてきたわけではなく、落ちるべきところに落ちている。

それ即ち、一喜一憂せず、物事をあるがままに受け入れて生きてみよう。という考え方です。

楽しいとき、嬉しいとき、悲しいとき、辛いとき、この現代社会を生きているといろいろなことがあります。

しかし、その全ては起こるべくして起きており必ず意味があります。そう思えたなら少し身軽になるのではないでしょうか。

月の満ち欠けも同じことがいえるでしょうし、雨の一滴一滴も同じでしょう。

そういった精神を凛堂は家紋に掲げ、茶の精神を表す利休凛堂を中央に置いております。

看板、暖簾、必ずお店に入る際には、家紋が大切なお客様の目に入るよう掲げております。ただ茶や酒を飲みに来た、それもきっと出会うべくして出会わせて頂いていると私は思います。

大切なお客様をお迎えするため、今日も茶を一服頂きながら、どんな新しい出会いがあるのだろうと楽しみに心躍らせております。

以上が#1のお話となります。
禅の言葉で心が整ったところで、次回#2にて茶の世界へご案内させて頂きます。

お忙しい中、ご拝読頂き誠にありがとうございました。
次回もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

プロフィール
「逗子茶寮凛堂-rindo-」亭主

山本 睦希 (やまもと むつき)
1988年京都府京都市伏見区出身。銀座の会員制レストランにて給仕人、ソムリエの修業を経て、神奈川県三浦郡葉山町のミシュラン四つ星ホテルの専属ソムリエとして従事。“日本人の給仕人やソムリエにしかできないことがある” という思想を追求し、日本の文化や守るべき伝統、歴史を “現代茶室” というフィルターを通し、茶や酒、旬の食材など日本各地の食文化の魅力を伝えるべく2021年独立、「逗子茶寮 凛堂-rindo-」を立ち上げる。

 

逗子茶寮 凛堂-rindo-
神奈川県逗子市5-1-12カサハラビル逗子B-2F
定休日:不定休
TEL 046-870-3730
Instagram: @rindozushi

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