葉山時間

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【コラム】わたしの葉山時間 #03 学びだらけの「葉山暮らし」

学びだらけの「葉山暮らし」

みなさん、こんにちは。
今年も例年に比べて降水量が多い梅雨に、気候変動の影響を肌で感じています。前回のコラムにも書き綴りましたが、葉山は海だけでなく緑豊かな丘陵に恵まれているため、土砂災害に注意が必要な土地です。生態系のバランスを壊してしまうと、同時に人々の安全を失うことになる…。つくづくリスクと隣り合わせの土地だと思います。

葉山町は、ごみの資源化・減量化による「ゼロ・ウェイストへの挑戦」や、生物多様性の保全など、さまざまな環境活動を推進し、積極的に環境政策に取り組んでおります。残された自然の恵みを守り育てて次世代につなぐため、自然と共存する町づくりを進めているそうです。都心からの移住者も多い町ですが、この地に住まうようになった人々は、必ずと言っても過言ではないほど、自然回帰を望み、環境問題に取り組むようになります。

自然回帰と言うと、フランスの天才的哲学者であるルソーの「自然に還れ」の有名なフレーズを思い浮かべます。この言葉には、「文明の発展が人間を歪ませて悲惨にした。だからこそ、自然に還り内的自然や根源的純粋さを回復する必要がある」と言う近代批判が含まれているそう。何百年も前の18世紀でさえ、人間は自然に還る必要性があると説く人が存在したのだから、近代文明であれば、なおのことでは?と、思います。そして葉山の方々は、本能的にそれらを求めているような気がします。

わたしたちにとっての自然回帰とは、オフグリットを目指し、自給自足に近い生活を送っていることだと思います。自給自足とお伝えすると、「働いていないの?」と思われる方も多く反応に困ることもありますが…まだまだバリバリ働かせて頂いております()。

わたしたちは、物質主義を批判してそこから離脱しようと試みるカウンターカルチャー的なライフスタイルは全く望んでいません。人にも地球にも優しくありたかったため、サスティナブルなライフスタイルを選びました。自分たちの身の回りの生物を育み、自宅の周囲だけでも自然界のシステムを壊さず、より豊かにすることを最終目的にし、できることから少しずつ取り組んでおります。

安全な食物を新鮮な状態で頂くために、自宅の庭や畑で旬のお野菜やハーブを育てながら土の仕組みを学んでおります。土の仕組みは学べば学ぶほど神秘であり、健康に直結することです。それについては別の機会でたっぷり語りたいと思います(笑)。

自宅の庭先では養鶏をしております。彼女たち(みんな女の子)の日々の営みを見て、他の動物の命を敬うようになり、バタリーケージ(ケージに閉じ込める飼育方法)がどれだけ悲惨なことなのか?現在スーパーなどで販売されている卵は、どれほど危険なのか?を、伝え歩くようになりました。

鶏は、野菜くずを食べてくれるため、我が家から出る生ごみの量が圧倒的に減ります。また、思っているよりも賢くてなつくので、あまりに可愛くて鶏肉を食べられなくなる意識の変革が起こりました。食生活をプラントベースに切り替えるだけで、環境への負担を格段に減らせることも知り、新たな価値観が生まれました。

「 葉山暮らし」は、大人になった今でも、さらに学びだらけです。
自然に寄り添って恩恵を頂く暮らしは、不安定に傾きがちな人間の心や生き方をセンタリングしてくれます。わたしたちは宇宙の一部で在る、という大切な概念を思い出させてくれるのです。

それではまた次回、お会いしましょう!

 

 

株式会社MotherEarth代表
香りのプロダクト「ZEN 」プロデューサー
フリーマガジン「UPCYCLE」編集長
山本朱美

沖縄にある築60年の地域財産をリノベーションした古民家貸別荘「美ら民家」の運営をはじめ、香りのプロダクト「ZEN 」のプロデュース、フリーマガジン「UPCYCLE」の編集長を務めるなど、活躍は多岐に渡る。また、葉山にある古民家にて自給自足、エシカルライフを実践しており、そのライフスタイルも注目されている。

 

 

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