葉山時間

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【コラム】花あしらいLESSON #02 ノスタルジックな思いをリースに込めて

ヒマワリ、ヒマワリ、ヒマワリ…。
今年も出会えてよかった、夏に輝く黄色。

先日、「ひまわりを1本下さい」と真っ黒に日焼けした若い女性が来店されました。「プレゼントですか?」とたずねると、彼女は少し目を潤ませて「今日でオリンピックの江ノ島セーリング会場でのボランティアが最終日で、何もないまま家に帰るのが淋しくて、自分にヒマワリをプレゼントしようと思って…」とのことでした。

湘南で唯一開催された種目でもあるセーリングのオリンピック会場にて、選手や関係者の誘導係として炎天下の中駆け抜けた1ヶ月だったとか。黄色に輝くヒマワリを自分へのゴールドメダルにされたのかもしれません。

照りつける真夏の太陽を避けることなく、天に向かって伸びるヒマワリ。これほど健康的で屈託のない花はほかにない気がします。天真爛漫に輝くヒマワリを見ていると自然と元気に夏を楽しもうという気持ちになるのは、私だけではないはずです。 “今年も出会えて良かった” としみじみ思う花のひとつでもあります。まだまだ閉塞感のあるこの世界にひときわキラキラした光を放つ夏の花、ヒマワリ。私は花束にして、最近元気のない友人へプレゼントすることにしました。

夏空の下、にぎやかに咲くヒマワリをイメージして鮮やかなスカイブルーのペーパーでラッピングをし、元気な顔が見られればいいと思いを込めて届けました。

花束に使ったのは ゴッホのひまわりヴィンセント・クリアオレンジというもの 。いずれもヴィンセント・ヴァン・ゴッホから名付けられた品名です。ゴッホが南フランスのアルル滞在時に盛んに描かれたヒマワリの絵。彼にとってヒマワリは明るい南フランスの太陽、ひいては理想とするユートピアの象徴であったと言われています。

最近は、花市場でゴッホのヒマワリをはじめ、マネやゴーギャンなど画家の名前がついたヒマワリが出廻っています。私も悠久の偉大な画家たちに思いを馳せて、ぼってりとした花びんにヒマワリを飾ることにしました。

ノスタルジックな思いをリースに込めて…、

シーズンの終わりにヒマワリのリースを作りました。お家で飾ったヒマワリの花首が下がりはじめたころ、エアコン近くの風通しのいい場所につるしておくと、きれいなドライフラワーが出来上がります。チリチリと丸まったヒマワリの花びらがマスタード色に変化し、動きのある表情を作り出してくれます。以前作っておいたスモークツリーのドライを合わせて、リース台にグルーガンで留めると簡単にオシャレなリースが完成しました。

この夏の記憶と共に壁に飾ることに。

 

profile
小倉眞子(おぐらまこ)

商社OLを経て渡米。滞在したシアトルでアメリカの豊かなライフスタイルを体験し、帰国後flowershopを鎌倉に開業。現在鎌倉花壇(鎌倉店)、express-style(逗子店)の地域に密着した個性的な2店舗を営み、逗子本店ではオープン当初より教室を主宰し今年で20年になる。
花あしらいレッスン 小倉眞子 ご挨拶 

 

 

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