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【コラム】北欧の暮らしとごはん #02 ほっこりかぼちゃのポタージュ

季節の変わり目で肌寒い日もあれば、夏の暑さが残る日もあり、体調を崩しやすい時期。『北欧の暮らしとごはん』2回目となる今回は、そんな今の時期にぴったりなスープをご紹介します。

私が経営しているカフェ『Melting pot』では、季節のスープを数種類ご用意しているのですが、その中でも人気なのがかぼちゃを使ったポタージュスープです。

レシピをご紹介する前にかぼちゃについて少しお話させてください。夏に収穫されるかぼちゃですが、収穫したてはフレッシュな青々とした皮が特徴的で、見た目も緑色できれいです。

ですがスープに適しているのは、収穫日から日の少し経った熟成したもので、甘みも劇的に違います。見た目は茶色なので、古そうであまり買いたくなくなるような物ですが… (笑)。


この写真でもまだ少し若い感じがします。もっと茶色でも良いくらいです。

私がお店で作るポタージュは全て化学調味料や、添加物を使用していないので、お野菜の味でかなり味が変わります。ぜひお野菜選びからこだわってみてください!さて、前置きが長くなりましたが、レシピのご紹介です。作り方はとてもシンプル。シンプルな作り方、そして材料ゆえに、材料選びや作り方のポイントをしっかり守ることが大事になってきます。

レシピ 

【約8食分】 

●玉葱 250g  

※新玉葱はみずみずしくて美味しいのですが、スープのベース作りには向いていません

繊維を断ち切るように5㎜くらいにスライスする

無塩バター 20g 

有塩の場合は少しだけ塩を減らして下さい。ほんの少しで良いです

●塩 10g

●かぼちゃ  500g

※熟成した物の方が、甘み、旨みがあります。青々したかぼちゃしか手に入らなく、甘みが少し足りない場合は砂糖や味醂で最後に味足しをするのも◎

●水 500ml

●牛乳 500g

●生クリーム 200g

【 作り方】

ポイントは①~⑥までのあめ色玉葱の作り方! これを守れば99%成功したと言っても過言ではありません。

①スープが最終的に入る鍋になるので、少し深めの蓋つき鍋に塩、バター、スライスした玉葱を入れ、弱火にかけます。

②初めは玉葱の良い炒める音が聞こえ、少し目につんとくるような香りもしますが、次第に玉葱から水分が出始めます。終始、蓋を閉めて、焦げつかないように開けては混ぜを繰り返して下さい。

※蓋についた水蒸気は必ず鍋の中に戻して下さい

③バターが溶けて、塩が玉葱全体にいきわたります。玉葱の自ら出た水分で、玉葱が煮られていくような感じになりますが、次第に水分が飛んでいきます。

④だんだん茶色に変化していき、炒める音も変わっていきます。

⑤時間が経てば経つほど焦げやすいので、ときどき混ぜながら辛抱強く混ぜます。

⑥だんだんとキャラメル化していき、鍋肌にくっつき始めます。出来上がりは近いです。量もかなり少量になります。下の写真はあめ色玉葱の色の参考になります。これ以上進むと苦味や酸味が出てしまうので気をつけてください。

⑦⑥に水、かぼちゃを入れ、鍋底を綺麗にするように混ぜ蓋をし、中火にかけやわらかくなるまで煮ます。ここでやわらくなる前に水分が飛びすぎてしまったら水を少し足して下さい。

⑧かぼちゃが煮崩れるくらいに、やわらかくなったら火を止めて、牛乳、生クリームを入れミキサーにかけて完成です。冷たい牛乳を入れることで少し温度が冷めるので、すぐにミキサーにかけることができます。

⑨最後に味見をして、味の調整をして下さい。料理は必ずしも数字できっちり表す事はできませんので、味見をして、塩気が薄かったら塩を足し、少し濃かったら水や牛乳などで調整してください。冬は温めて、暑い日には冷やして飲んでも美味しいです。

今回ご紹介した量は、ご家庭では少し多めの分量ですが、量が多い方が美味しいです。とはいえ、自宅では食べきれないという場合は、スープになった状態で保存袋に入れて冷凍もできます。一気に作って小分けして食べるのをおすすめします。冷蔵庫だと3日程度保存可能です。

最後に、
あめ色玉葱をこだわって作るのはかなり面倒くさいですよね()
おすすめは何か他の家事をしながらあめ色玉葱を作る事です。必ずしも終始鍋の前に立ってあめ色になるまで待つ必要はありませんし、特にレシピの①~④までは少しほっといて大丈夫です。終わりに近づくにつれて焦げやすいので、5分に1回は様子を見た方が良いでしょう。洗濯や掃除をしながらやっても良いかもしれませんね。料理は間違いなく作り手の気分に左右されると私は思います。なので、美味しくなって欲しいと思い、楽しみながらやっていれば絶対に美味しくなると思います。ストレスが溜まったときは、無理に料理することなく、買ってきたり、外食したりして息抜きするのもいいですよね。やる気が出なく、面倒くさくなる日もあれば、ものすごく頑張れる日もある。果てしなく続く生活は、それの繰り返しです。言い方を変えれば、やる気のある日の自分が頑張って、やる気のない日の自分をサポートしてあげる感じです。

これから寒くなっていくので、温かいスープが美味しく感じると思います。
みなさんの食卓に彩りを添えられますように。

 

Melting potオーナー
原ベックマン 彩子

鎌倉に生まれ育ち、スウェーデン人の夫と暮らす。服部栄養専門学校卒業後、世界の食文化に興味を持ち、さまざまなジャンルの飲食店で働く。カナダではベイカリー、スウェーデンではレストラン勤務を経て、鎌倉・長谷にスウェーデン料理を取り入れながら、カナダで学んだバターミルクビスケットやスープをメインとしたカフェ『Melting pot』を経営。現在に至る。

Melting pot
神奈川県鎌倉市長谷2丁目21−5
営業時間:8:00〜15:00
定休日:日曜、祝日

 

 

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