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【コラム】 #心地よい暮らしと、石けんと。 第3回 〜正しい石けんでの洗顔方法と、皮膚の不思議〜

正しい石けんでの洗顔方法と、皮膚の不思議

今回は、肌の悩みと強いコンプレックスから手づくり石けんに出会った私が、これまで学んだことの中から「これはよかった」と実感した、あたりまえの中にある小さなヒントと正しい洗顔のポイントを3つご紹介します。

毎日の「洗う」をあらためて意識してみる。そんな機会になればうれしいです。

1.温度  
洗顔の基本はぬるま湯、30度以下で行うのが基本です。なぜぬるま湯の洗顔が推奨されているのかというと、それはわたしたちが本来持っているお肌の潤いの要となるセラミド (細胞間脂質)が、ぬるま湯以上の高い温度のお湯によって流れ出てしまうからです。私自身も数年前までついつい、お風呂時間にシャンプーとともに熱い温度のシャワーでお顔を洗い流していました。年々乾燥が気になるな…、という方は、今日から意識してみると良いかもしれません。

2.刺激 
ふっくらな泡を立てて、やさしくこすらず洗いましょう。私たち日本人は、お顔の皮膚が非常に薄い人種ですので、外側からの物理的な刺激にとても弱いのです。それから、うっかりやってしまいがちなのが、タオルで水分を拭き取る際の無意識のゴシゴシもNGです。 洗顔後の拭き取りもこすらないことがポイントです。“こすらない” のと同じ理由で顆粒が入ったゴマージュや拭き取りタイプのメイク落としなども要注意のアイテムとなります。

3.清潔
お肌の上には目に見えない皮膚常在菌がいて当たり前です。「清潔にしたい」という思いが強すぎてしまったり、過度な殺菌剤やアルコールなどが入った洗浄料を常用していることなどが原因で、お肌の皮膚常在菌のバランスが乱れてしまうことも考えられます。もしもあなたが洗顔後にお肌がむずがゆい…、というような症状があれば、それは大切な皮膚常在菌のバランスが乱れているサインかも。良質の手づくり石けんは美肌菌と呼ばれる表皮ブドウ球菌を増やすのも得意技。洗顔を手作り石けんに変えてみるというのもおすすめです。

基礎化粧品を変えるのもいいけれど、まずは素肌と最初に出会う「石けんの質」であったり「洗い方」を自分で選び変えてゆくことが、スキンケアの小さいけれども大きな大きな第一歩ではないかなと思います。



さて、
ここからは「皮膚の不思議」のお話しをさせてください。

皮膚は「露出した脳」と言われます。ふわふわしたタオルに包まれる、愛するペットと触れ合う、清潔なリネンの寝具で寝転ぶ…。そんな風に肌触りの良いものが皮膚に触れるだけで、心地よさを感じることができます。また、心地よいだけでなく「安心感」や「癒し」「信頼感」をもたらします。  

それはなぜなのしょうか?  

もともとは一つの卵子だったところから始まり、細胞分裂をして生まれ育ってきた私たち。そんな私たちの大切な臓器のひとつである皮膚は、体重の約16%を占める人体最大の臓器でもあります。実は、皮膚の一番外側にある表皮は、脳や中枢神経と同じところから生まれているのです。  

皮膚といえばただの「膜」という認識から変化し、近年では皮膚自体がホルモンを形成しこのホルモンが血中を巡り、脳に影響を与えることがわかってきたことから、皮膚は「露出した脳」と言われるようになったそうです。  

つまり、幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」を、肌触りの良いものに触れるだけで生み出すことができるというわけです。素敵!!

心地よいと感じる触覚というのは、顔の部分に集中していると言われます。私も疲れたときには一緒に暮らすペット(フェレット)のもふもふの毛に顔を埋めるのが大好きです(笑)。  疲れたなあと感じたときには、毛足の長いやわらかなものでそっと顔を撫でてみましょう。ストレス軽減にとても役立つと思いますよ。

  次回は、オイルのお話をしようと思います。 

【プロフィール】

手作り石けん教室『soapmaking studio uguisu』主宰

なかやまちとせ

自身の肌の弱さと子どものアトピーをきっかけに石けん作りに興味を持ち、学び始める。2016年葉山町の自宅にて手作り石けん教室「soapmaking studio uguisu」を立ち上げ、現在はワークショップ、自宅でのプライベートレッスン、オンラインレッスン、体系的に石けん作りが学べるオリジナルカリキュラムなどを実施中。アート作品のような美しい石けんが並ぶインスタグラムも人気。

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