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【コラム】北欧の暮らしとごはん #05 〜『Semla』おデブの火曜日〜

寒さも続く毎日ですが、少しずつ春の訪れを感じる今日この頃。
今回はスウェーデンの伝統的なお菓子の中で、私の一番好きな『セムラ』をご紹介します。

クリスマスが終わり、みんなが通常の生活に戻り始めた年明け頃から、このセムラはスーパーマーケットやカフェに並び始めます。見た目はシュークリームのような形をしていますが、パン生地なのでしっかりとした食べ応えのある菓子パンです。

パン生地にはカルダモンの種を細かく挽いたものが練りこまれていて、甘いアーモンドクリーム(日本のマジパンのような物)と無糖の生クリームがたっぷりと入っているのが、オリジナルのセムラの特徴です。

スウェーデンではお菓子にカルダモンの種を使う事が多く、独特なスパイスの香りがして、私はとても好きです。シナモンロールは代表的なパンですが、カルダモンロールもとっても有名なパンなんですよ。

日本でよく見かけるカルダモンは緑色の種のような形をしていますが、その中に黒い、胡椒よりひとまわり小さいサイズの種が入っていてそれを使用します。

どこのスーパーでも手に入りやすいスパイスです。パッケージも小さいものから大きいものまであります。

挽きたてのカルダモンの香りは最高です。それを生地に練り込み焼いたら、パンの上の部分を帽子の様にカットして、なかに湯むきをしたアーモンド、粉砂糖、卵白や牛乳でペースト状にしたアーモンドクリーム、マンデルマッサをたっぷりと詰めます。

生クリームは無糖が本来の形ですが、砂糖が入っているお店も多いようです。このセムラをホットミルクに浸してたべるHetvägg-ヒエトヴェッグも伝統的な食べ方のひとつです。

あまり日本では知られていないセムラですが、元々はイースターの断食前にカロリー摂取を目的として食べられていたお菓子。

現在のスウェーデンはほぼ無宗教ですが、イースターを祝う世界中の国で、食べ物の内容は違うものの、似たような文化があると思います。

イースターの47日前の火曜日、『Fettisdagen-フェッティースダーゲン』というおデブの火曜日というセムラの日があり、街中はセムラでいっぱいに。

人気のベーカリーやケーキ屋さんは、会計がセムラ専用の場所ができたりと、祝日ではないですが、お祭りのような気分になります。

私もスウェーデンに住んでいた頃は、色んなお店のセムラを食べ比べておデブになっていました (笑) 。ジャムが入ったものや、シナモンロールをセムラのように見立てたりと店ごとに色々なテイストのセムラがあります。

私の経営している『Melting pot』では、クラシックなセムラを作っていて、2/28-3/5まで、ホットミルクに浸して食べるHetväggをお出しする予定ですので、興味のある方はぜひお立ち寄りください。

最後はなんだか宣伝風になってしまいました (笑)。
セムラをたくさん食べておデブになる日なんて、なんだかワクワクしませんか?
春を待つ行事の一つとして、日本でも人気になればいいなぁと思っています。

Melting potオーナー
原ベックマン 彩子

鎌倉に生まれ育ち、スウェーデン人の夫と暮らす。服部栄養専門学校卒業後、世界の食文化に興味を持ち、さまざまなジャンルの飲食店で働く。カナダではベイカリー、スウェーデンではレストラン勤務を経て、鎌倉・長谷にスウェーデン料理を取り入れながら、カナダで学んだバターミルクビスケットやスープをメインとしたカフェ『Melting pot』を経営。現在に至る。

Melting pot
神奈川県鎌倉市長谷2丁目21−5
営業時間:8:00〜15:00
定休日:日曜、祝日

 

 

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