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【コラム】わたしの葉山時間 #05 かつての日本人は農のアーティスト

かつての日本人は農のアーティスト

みなさんこんにちは、 お久しぶりです(笑)。

忙殺された葉山時間を送っており、これはイカンとわたしの葉山時間に戻って参りました。

畑の先生に「慌しさに巻かれると、巻かれたまま無意識に時が過ぎていくから、何のために忙しいのかしら? と立ち止まって考えなきゃダメだよ」と、助言を頂き、ビンタをされた如く覚醒した次第です(笑)。

今回は、葉山に移り住みスタートした畑仕事のこと。

葉山暮らしが何年過ぎても、飽きることなく勉強し、素人ながらに追求し続けている農的暮らしについて書き記したいと思います。

土に触れて農を学ぶと、驚くほどの発見と気づきがあり、人生における価値観がどんどんアップデートされて豊かになります。旬の食材を最高の状態で戴けることも確かに豊かですが、それだけでなく、心が力強く満たされていくような感覚を抱いております。

かつての日本人は、農のアーティストでした。

日本古来から続く循環型農業は、様々な有機物を肥料に変換して作物を育ててきました。例えば、落ち葉や動物の糞尿、死骸を微生物が無機物に分解し土の栄養分に変える。とても神秘的な循環のシステムを利用し、肥沃な土壌を育んで来ました。

古代の日本人は、人智を超えた自然の摂理を味方につけ、小さな国土で豊富な作物を生産してきた非常に優秀な民族なのです。私たちは、たくさんの命の積み重ねによって生かされてきました。

しかし現在はどうでしょう?

つねに味方である自然に対して牙を剥いたのは、私たち人間の方です。農薬や化学肥料を撒き散らし、今の日本では、微生物が計測すらできない農地が増えたと耳にします。微生物のいない土壌で育つ植物は、病気にかかりやすく虫が繁殖しやすくなります。そしてまた農薬を使用する…、悪循環に陥っているのです。

しかし、有機栽培や自然農で育った野菜は、たくさんの微生物が存在する小さな命の集合体の中で育まれるため、栄養は満点!

畑で育てるか、信頼できる農家さんのオーガニックお野菜を頂くようにしています。

我が家では、お野菜だけでなく調味料もできる限り手作り。納豆も自宅で作りますし、豊作だった旬の食材は、漬物にしたり、梅酢に漬けたり、昔の人はこのように工夫して暮らしていたんだなぁ…と、作るたびにしみじみと考えさせられます。

煙で燻した燻製や、微生物の働きを促進して腐敗を抑える発酵食品も、まるでアートのようですよね。


とにかく古代の日本人は、非常にスペックの高いライフスタイリスト(笑)。その知恵を拝借し季節の移ろいを感じながら食卓に向かってみることを、僭越ながらも強くオススメします。

株式会社MotherEarth代表
香りのプロダクト「ZEN 」プロデューサー
フリーマガジン「UPCYCLE」編集長
山本朱美

沖縄にある築60年の地域財産をリノベーションした古民家貸別荘「美ら民家」の運営をはじめ、香りのプロダクト「ZEN 」のプロデュース、フリーマガジン「UPCYCLE」の編集長を務めるなど、活躍は多岐に渡る。また、葉山にある古民家にて自給自足、エシカルライフを実践しており、そのライフスタイルも注目されている。

 

 

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