葉山時間

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【コラム】わたしの葉山時間 #02

忙しいときこそ、山に入り、本質を追求する

みなさん、こんにちは。
「わたしの葉山時間」第二回目となる今回は、私たちが住む古民家の周りに点在する山々の魅力についておはなししますね。

引っ越した当時は、目の前の広大な丘陵地帯を見ても「山の緑は気持ち良い」というくらいにしか思ってなく、まるで原生林のように見えた山の中に、起伏に富んだトレッキングコースがあるなんて、想像もしておりませんでした。我が家のキッチンの窓から望む小さな山々が、三浦アルプスと呼ばれているなんて…。知ったのは1年後(笑)

三浦アルプスとは、葉山から、田浦・安針塚にかけて、仙元山・阿部倉山・二子山・矢落山(乳頭山)・畠山の5つの山が連なる縦走ルートのこと。低山なので最高部でも標高は214m(茅塚)しかなく、登山初心者も挑戦しやすいことが魅力のひとつです。頂上付近には、東京湾と相模湾、江ノ島や富士山まで見渡せる絶景スポットがあり、ダイナミックな眺めを満喫できます。

しかし、住宅地近郊とは思えぬほどの奥深さを備えているので、なめてかかっては痛い目にあいます。急傾斜が多く、複雑に入り組んでいるため、山を知り尽くした人でも「低いのにやたらキツイ…」とおっしゃるほど。思っている以上にアップダウンが多く、変化に富んだトレイルを楽しむことができます。また、低山であるがゆえに、安易な気持ちで入山する人も多いようで、毎年道迷い等の遭難事故が後を絶たないことも事実だそう。ときどき見かけますが、決してビーサンなどで入らないように気をつけてください。

我が家から歩いてエントリーできることを知ってしまった今では、休日になるともっぱら山に入り、リフレッシュをするようになりました。それからというものの、入山しては心身の疲れをリセットすることが日課となり、疲れているからこそ山に入り、汗を流し、自然のエネルギーを頂いております。

最近は、林業に携わる主人と共に森林セラピストの資格を取得し、ケーススタディを行なっておりますが、森林浴が身体に良いことは医学的にも立証されつつあります。海外では、医療現場で実用化もされているそうです。また、日本衛生学会森林医学研究会にも、さまざまな研究結果が掲載されておりますが、例えば、森林浴で副交感神経活動が高まったり、コルチゾール(ストレスホルモン)が減少したり、血圧が低下したり、自律神経系の改善が見られたり…、その効果は多岐に渡るとか。

私の場合は、無心で登っていると、能動的な瞑想状態に入るような感覚があり、脳を休ませることができるため、日々多忙な心のリフレッシュにも繋がっております。自然と対峙する度に、結局人間も宇宙・地球の一部であるのだから、自然を破壊する手を止めて、多種多様性を守り、それらの命を尊重して共存して生きていくべきでは?と、改めて思います。

手塚治虫の『ガラスの地球を救え』に「人間がどのように進化しようと、物質文明が進もうと、自然の一部であることには変わりはないし、どんな科学の進歩も、自然を否定することはできません。それはまさに自分自身=人間そのものの否定になってしまうのですから。」と書かれたセリフがありますが、人間は、いつしかこの本質を忘れてしまったのではないでしょうか。

最後に突然ですが、山には神様が住んでいると思うのです(笑)。木々は意識を持っているようにも見えます。山に入る際は一礼をし、ご挨拶をして入りましょう。そうすればきっと、安全に楽しく登山ができると思いますよ。

 

株式会社MotherEarth代表
香りのプロダクト「ZEN 」プロデューサー
フリーマガジン「UPCYCLE」編集長
山本朱美

沖縄にある築60年の地域財産をリノベーションした古民家貸別荘「美ら民家」の運営をはじめ、香りのプロダクト「ZEN 」のプロデュース、フリーマガジン「UPCYCLE」の編集長を務めるなど、活躍は多岐に渡る。また、葉山にある古民家にて自給自足、エシカルライフを実践しており、そのライフスタイルも注目されている。

 

 

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